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結局、その日は気分悪いままで終わり、気づけば帰る元気すらなく店のソファーで眠ってしまった。
どれくらい眠りについていたのも分からない。
けたたましく鳴り続ける電話の音に、寝がえりを打ちながら手を伸ばす。
「…って、」
ソファーの上で眠ってた所為か、身体が痛むと同時に頭までも痛い。
まだ酔いが醒めてないんだろうか。
掴み取った携帯をまだ目が冴えてないまま見つめると、
「やべっ、」
画面に表示されているリアの文字にいっきに目が冴えた。
「…はい」
「遅いわよ。出るの」
「悪い。寝てた」
「今、店の前なのよ。来て」
あぁ、そうだった。
そう言えば流星が言ってたっけ。
リアが来るって。
そんな事も忘れていた所為か、ため息と同時に重い身体を起した。
身体中に痛みが走る。
目が冴えてもまだ頭が眠っている感覚に、なんだか眩みそうになる。
久し振りのこの感覚に、気分さえも乗らなかった。
唯一、良かったと言えば朝の仕事が休みだと言う事。
時刻は6時18分。
店の外に出ると、不貞腐れた様に壁に背をつけたリアが立っていた。
こんな朝っぱらから真っ黒のドレスに身を包んだリアはこの朝にはふさわしくない格好で。
当たり前だけど、まばらに歩く人がリアに視線を追っていた。
「…お待たせ」
そう近づいた俺に、リアは視線を向け頬を膨らませた。