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「ガッツリじゃねーし、まだ3杯しか飲んでねぇよ」
「へー…、一人で?」
「いや、子猫と」
「は?子猫ってなんだよ」
ケラケラ声にだして笑う流星に、俺の顔から笑みなど一切漏れることはない。
だからと言って、別に流星に隠すようなもんでもなかった。
「美咲っつー子猫」
いや、子猫っつー可愛いもんでも何でもない。
気性が荒いただの猫の方が正しい。
「女かよ。つーかその言い方はお前が連れて来たって事か?」
「……」
「珍しー…お前から女連れ込むなんて」
「そーでもねーけど」
「いや、女がお前を連れて来るのは当たり前の事だけどよ、お前から女を連れ込むのはありえねーから。ってか、なんか訳あり?」
またクスクスと笑みを漏らす流星は、
「これ食っていいのかよ」
新しい箸を割った。
「あぁ」
「で、お前が連れて来たって事は相当いい女なんじゃねーの?」
いい女ねぇ…
って、どこがだよ。
援交するロクでもねぇ女だっつーの。
「さぁ…そうでもねぇけど。高校生のガキだし」
「は?高校生かよ。つかお前学生に興味ねぇっつってただろうが」
「言ってたな」
「あー、あれか。高校生に見えないくらいのべっぴんか」
「……」
そう言って流星はクスクス笑いだした。
確かに高校生には見えないほどの容貌だったが。
「へー、でもすげーなその女」
「何が?」
「お前を手こずらせてんじゃん」
「つかそう言う目的で連れて来てねぇしな」
「じゃあ何の為?」
「さぁ…」
未だにクスクス笑う流星にため息を吐き捨て、ビールを喉に流し込む。
何の為って、そんな事、俺にも分かんねぇわ。
それにしても女に胸倉掴まれるとかまじでありえねぇわ。
暴言吐かれて胸倉掴まれて…
あいつマジ女かよ。