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「別に相談じゃねぇし。沙世さんが勝手に語ってんだけだろ」

「でも否定しなかったでしょ?気になる子が居るって事に」

「……」


フフっと笑う沙世さんに眉を顰めながら箸を進める。


「翔くんが言ってたように本気で支えたいって思う時が来たら辞めればいいと思うよ。焦ったって、何もなんないしね」

「……」

「なんかさ、こー言うのっていいよね。息子に相談されるのって。ユカとは違ってなんか新鮮だよね。あーあ、百合香が居たらこんな話ししてんのかなー」

「するわけねぇだろ」

「あら、なんで?」

「こんな話しお袋にすっかよ、もし辞めたいって思ってても、ぜってーそんな話しねぇわ」

「あら、かわいそう。百合香はね、翔くんの幸せを一番に願ってたから。だから私もそう思う。また何かあったら相談してね」

「だから相談じゃねぇし、もう沙世さんには話さねーわ」


クスクス笑う沙世さんの声が耳に張り付く。

食べ終わって水を含んだあと、気を紛らわすかのようにタバコに火を点けた。

むしろお袋が居たら俺はホストの道にも歩んでねぇし。

美咲にも会っていない。

今頃きっと昔と変わらず遊び暮れてるだろう。


そしてこんなにも沙世さんと話していないだろう。

沙世さんには物凄く感謝してて、俺にとったらお袋と同じくらい大切な人。

母親じゃねーだろ。って口では言ってるけど、本当に母のような存在だ。


「翔くん、朝の仕事あるの?あ、日曜日だからないのか」

「ある」

「え?日曜なのに?ホント頑張り屋ね。タクで帰るんだったら送るよ?」

「じゃ、よろしく」

「待って。片付けるから」

「ごちそうさん」

「いいえ」


沙世さんが片付けてる間、俺は吸っていたタバコを消し、後ろのソファーで横になる。

携帯を取り出して、画面を見るも美咲からの連絡などいっさいなかった。


はぁ…とため息を吐きだし、軽く目を瞑った。
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