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揺れる感情
気づけば10月終わり。
1カ月も美咲と会っていなければ、もう何日も話してもいない。
今までだって普通に1カ月なんて会わない日があったのに、何故か今回の1カ月は物凄く長く、そして疲れた1カ月だった。
気を紛らわすのは酒しかなくて、その酒の力で眠って忘れる。
そんな事してる自分が馬鹿らしく、これこそ俺らしくねぇのかと思ってしまう。
なんで、アイツに逢着してんのかもよくわかんなくなってた。
好きと芽生えてた感情が、揺れて…
どうでもよくなってきそうだった。
トビの仕事が休みをいい事に俺はひたすら眠りについた。
そしてその眠りが覚めたのは、何度も鳴るチャイム。その耳障りな音に俺は必然的に目を開け、軽く舌打ちをした。
「…んだよ、」
未だに鳴るチャイム。
気怠い身体を起し、俺は寝室を出る。
そしてリビングでモニターを見た瞬間、深いため息が漏れた。
「…んだよ、お前」
モニター越しから気怠い声を出す俺に、笑みを浮かべ手を振るユカに眉が寄る。
「来たよ」
「はぁ?呼んでねーし」
「早く開けなって、」
オートロックを解除し、俺はモニターを消して玄関に向かう。
すぐ来るであろうと思い、玄関の鍵を開け、俺は再びソファーに寝転んだ。
全然、眠気など覚めず、余計に起こされた事に嫌気がさす。
しかも珍しくアイツは何しに来た?
「おっ邪魔しまーす。って、げっ!アンタなにこの部屋?汚いわねぇ…片付けなさいよ」
「……」
入ってきて速攻ユカは声を上げ、リビングのカーテンを全て開け、窓を開けた。
その瞬間、心地いい風が吹き込む。
ソファーに寝転ぶ俺の頭をツンツンするユカに閉じていた目を薄っすらと開けた。