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マンションに着いてすぐにスーツから部屋着に着替える。
未だに抜け切ってない酒を抜こうと水をたらふく飲んだ。
そんな事してもすぐに身体から酒が無くなるわけでもなく頭を摩る。
…つか、そんな事より美咲はこんな時間に何をしてる。
ほっつき歩いてる。って、意味わかんねーよ。
結局、美咲からの連絡はなく俺の電話にも出なかった。
2時半になろうとする時間。俺は外に出て近くの自動販売機で珈琲を買い、エントランスの横にある石段に腰を下ろした。
真夜中の風は少し冷たく、酒のせいで体温が上がっているのか今の俺には心地いい。
珈琲を口に含み、手に持っていたタバコを咥える。
火を点けぼんやりと視線を見渡し吸っていると、暫くしてから一台の車が停車した。
一度開いたドアが再び閉まり、なかなか降りて来る気配はない。
すると諒也が出て来たと思えば助手席へと回り込んだ。
「…――だから何でよ!!」
美咲の張り上げた声に視線を向ける。
「だから言ってんだろ。俺これから行く所あんだって」
「そんなのあたしを送ってからでもいいじゃん」
「だから送ってんだろうが」
「ここはあたしの家じゃないよ!!離してよ!!」
「うっせぇなぁ…」
美咲の叫んだ声と諒也の面倒くさそうな声が辺りを響かせる。
ここはあたしの家じゃないって…そんな嫌なのかよ、ここに来るのが。
確かに、俺と美咲は何の関係もない。
関係ねぇのに深入りしても、美咲にとったらいい迷惑だろう。
だけど俺は、いつの間にか美咲の事を離したくねぇって思うほど、気になって仕方がない。
関わっても、追っても、離れていく美咲にどうしたらいいのかなんて分かんなかった。
思わず深いため息がタバコの煙と一緒に出た。
ここに連れて来いって言ったものの、これからどうするのかなんて何も考えていなかった。