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「どした?」
煙を吐きながら蓮斗とその見つめる先に視線を送る。
見る先は数人の男が居る。
「あー…アイツ出て来たんか。って思って」
「アイツ?」
「一度、務所に送ったから。出て来たんかって思って」
「あの先頭の男?」
「そう」
「なんかアレだな。お前の職業よくわかんねぇわ」
苦笑いになる俺に蓮斗はフッと鼻で笑う。
「分かんねーって、トビだろうが。お前も使い分けてんだろうが」
「使い分ける程でもねぇけどな。殆ど俺はトビで通してっから」
「普通あれなんじゃねぇの?自慢して夜の仕事!みたいなんじゃねーの?知んねーけど…」
「なんだそれ。つか俺、仕事以外、追っかけられたくねーんだよ。だから家も非公開にしてんだよ」
「非公開ねぇ…なのに特別な女には教えんだ」
ハハッと笑う蓮斗に一瞬だけ眉が寄った。
「あんまそこに突っ込むなよ」
「いや、あれだな…と思って」
「あ?」
「悩みは深そうだなと思って」
「つか、俺の事はどーでもいから」
素っ気なく返す俺に蓮斗はクスクス笑いだす。
悩み深そうだな。と言った蓮斗の言葉はある意味そうかも…って俺自身も感じている事。
それを誰かに口にされると、否定したくなる。
結局この世の中、何もかも思い通りにはいかねぇって事。
蓮斗を家まで送った後、俺はすぐに寝落ちに着いた。