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過去の記憶
夜の街をネオンで輝かせる繁華街。
ギラギラと輝く街並みの中、目の前の女は頬を赤らめた。
「ありがとう。また来てな」
店を出てすぐベッタリと身体をくっつけてくる女は酔ってる所為か、上目づかいで俺を見た。
「うん、また来るね」
甘えた声でもう一度女は俺の身体に抱きつき、次第に女の唇が俺に近づくのが分かる。
その距離が更に縮まろうとし、あと少しで重なろうとした瞬間。
「おい、酔い過ぎじゃね?」
笑みを浮かべながらその顔を器用にサラッと交わした俺は、抱きついていた女の身体を離し、頭に軽く触れた。
そうした所為か、女は嬉しそうに笑みを漏らし俺の頬に触れる。
自棄に冷たい手が俺の頬に触れた所為で体温が奪われそうになる。
「大丈夫。でも、楓がキスしてくれたら酔い覚めるかも」
何を言ってんだろうか。と思い、思わず鼻で軽く笑いその言葉をあしらう様に、
「あー、ごめん。俺も男やし、そんな事したら理性ぶっ飛ぶわ」
口角を上げたまま触れられている女の手に自分の手を重ね、徐々に頬から遠ざける。
その手に冷て。と心の中で呟く。
「別にぶっ飛んでもいいよー、楓の事スキだし」
「俺もな。もう今日は帰り。倒れんなよ」
適当な言葉を並べた俺は、もう一度女の頭を撫で身体を離した。
「はーい。寂しいけど帰るね」
「気を付けて」
今度はすんなりと離れた女。
手を振りながら足を進めて行く女に俺は仕方なくといった感じで手を振り、その姿が見えなくなった時、出入り口の壁にもたれて、一息吐いた。