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複雑な関係
美咲と出会ってから自棄に月日が流れるのが早いと感じていた。
自分の感情と行動が追い付けず、思うように進めない自分自身に苛立ちを覚える。
何をこんなに考えてんだって思う自分に呆れる。
それに対して、美咲はやっぱり美咲だった。
連絡など一度もしてこない。
だからと言って、俺も連絡すらも取らなかった。
会うのやめよう。と言われ、それを断った俺なのに何故か連絡が出来ないままでいる。
会えばまた余計な事を考え、美咲の気持ちを探ろうとしてしまう自分自身が嫌すぎて。
俺自身の気持ちを一方的に押し付けていると感じてしまっている自分自身も嫌すぎて。
最終的に自己嫌悪に浸って、そんな自分が一番めんどくせぇと思う毎日が余計にウザかったりもする。
まるで俺が俺じゃない様で…
それが暫く意味もなく続いた数日後。
夜の店を終わらせその日は店で休む事無く帰った。
風呂から上がり、リビングに向かうとテーブルの上の携帯がけたたましく鳴り響き、髪を拭きながら手に取る。
…諒也。
なぜか諒也の文字を見た瞬間、いい話ではないと直感で分かってしまった。
「…はい」
「翔さん、まだ仕事っすか?」
「いや。風呂入ってた。どした?」
「今から美咲そっちに送り届けようと思ってたんすけど、多分俺じゃ言う事聞かねぇから翔さん来てくれます?」
「は?こんな時間にアイツなにしてんの?」
「まー…今回は葵経由なんすけど」
濁すように言葉を吐き出した諒也からため息が漏れるのが聞こえる。
その声で、何かあったのかはすぐに分かった。
「場所どこ?」
――…電話を切った後、俺は急いで髪を乾かし、その諒也に伝えられた場所へタクシーで向かった。