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ついた場所は綺麗とはかけ離れた荒れたアパート。
階段の手すりも錆びて今にも劣化しそうで壊れてしまいそうな手すり。
つーか、こんな場所で何してんだって話。
軽くため息をつき、少し離れた場所にタクシーを停車させ俺は降りる。
少し足を進ませるとアパートの下で美咲と葵ちゃんが居るのが目に入った。
辺りを見渡すも諒也は居ない。
2人が見上げる先に視線をあげると、なにか物音が響いて来る。
何が、どうなってる?
焦った2人の表情。
「葵はちょっと待って――…」
「…みぃちゃん!!」
俺は咄嗟にそう叫んでいた。
振り返った美咲から「…え、何で…」戸惑いのか細い声が落ちる。
「…諒也先輩が…」
「なにしてんだよ?」
こんな所で、お前は何してた?
「…何も――…」
言いかけた美咲の声が慌ただしく階段を下りて行く男達の足音で閉ざされる。
つか、お前ら誰?
なんて思いながら男に視線を送っていると、最後の男の顔に違和感を感じた。
さっきの男は誰だったんだろうと。
どこかで見た覚えがあるものの、それが何処で誰かなのかは思い出せないと同時に、
「キャャャャャ――――!!」
一瞬の悲鳴で俺の思考が停止する。
男の背後から視線を戻すと、葵ちゃんが血相をかいて泣きながら見上げる先。
「イヤャャャッ―――」
「おい、諒也!!」
俺は迷う事無く、2階にへと駆け上がっていた。
手すりに捕まったままの諒也のお腹から血がみるみる浮き出てくる。
何がどうなって、こうなった?
「…って、」
小さく声を漏らす諒也の腕を手すりから離し、その場へと寝かせた。
「おい、諒也っ、」
「ごめん、翔さん。美咲と葵を――…」
「分かった。わかったから喋んな」
呼吸を荒くする諒也の顔色が次第に悪くなっていく。
「……い、美咲!!…おい!!」
呆然として立ち尽くしている美咲に声を掛けるも、美咲は動こうともせず、
「聞いてんのか、美咲!!救急車呼べ!!」
更に声を張り上げた。
なのに美咲はそれでも動かず、葵ちゃんの悲鳴ばかりが辺りを響かせる。