Domain
俺と美咲の腕を掴んで引き離そうとする男に小さく心の中で舌打ちする。
その男の手を反対側の手で、強く掴んだ。
「おっさん、アンタ家庭あんだろ?知られたくなかったら手どけろよ」
左手にキラリと光る指輪。
だから俺は余計に苛立ったのだろう。
軽く睨んだ俺に男は焦った表情を見せ、迷うことなく腕を離す。
あー、面倒くせぇな。
そう心ん中では思ってんのに、
「じゃあな、おっさん。この女借りるわ」
行動を止めることは出来なかった。
「ちょっと!!」
美咲の張り上げた声を耳にしながら、俺は掴んだ腕を離さずに早足で足を進める。
その俺に引っ張られるかのように来る美咲。
そのまま一番近くにあるホテルに躊躇うことなく入った。
入ったと同時に目の前にあるベッドに美咲を勢いよく投げる。
弾んだベッドがギシッっと小さく音を鳴らし、
「ちょ、何すんだよ!!」
美咲は相当に怒りがこみ上げたのか、ここぞとばかりに声を上げ、激しく俺を睨んだ。
つか、睨みてーのは俺。
って言っても理由なんて分かんねぇ。
なんでこいつをここに連れて来たのかも分かんなかった。
こいつをどうしろって?連れて来た自分自身に問う。
でも、あんな男となら俺の方がマシだろって言う選択しか思い浮かばず、気づけば俺はシャツを脱ぎ捨ててた。