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「つか何だよ、それ。相変わらずアイツ馬鹿だなぁー…さすがに男で勃つとかねぇわ」
「俺もねぇわ。いやーマジうけた。おもろすぎ」
「ちょ、翔に代わって?」
「スピーカーにしてっから聞こえてる」
「あぁ、なるほど。おい、翔…別にそれくらいいいんじゃねーの?」
「それくらいって何だよ?」
「勃たせとけよ」
「はぁ?マジ無理。勘弁して」
吐いても吐いても出るため息に、俺はソファーに深く背をつける。
「そんな事なら俺代わる気ねぇわ。重大じゃねぇし」
「重大だろうが」
「まぁタケルと仲良くやっとけよ。俺、忙しいから切るわ」
一方的に切られた電話に、また深いため息が漏れる。
「そもそもお前が言いだすからだろうが」
思わずアキに向かって言葉を放ってしまった。
「なんで俺なんすか?言わねーって言ってんのに楓さんが言えっつーからでしょ?」
「そんな話だとは思わねぇだろうが」
「いやー…タケルだからなぁー…」
「お前、もうタケルと当分会うな」
「何でなんすか?」
「お前までもがアイツに洗脳されてっからだよ」
「洗脳なんてされてねーっすよ」
「いや、考え方が似てきてる」
「いやいや、似てねーし。アイツは俺より更に進行中だから」
「だから、そこがダメだっつってんだろうが」
「もぅ楓さん、ちょっとは落ち着いて下さいよ」
「落ち着けるわけねぇだろ」
話しすぎた所為で自棄に喉が渇く。
水を飲む俺を見て、目の前の流星は未だにクスクス笑っていた。