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「…はい」

「久しぶりね、楓…」


リアとはいつから会ったないんだろうか。

来るときはずっと来る。

来ない時は暫くリアは来ない。

その暫く来ない間がつづくと、リアはこうやって俺に電話をしてくる。


「あぁ。元気にしてたか?」

「元気な訳ないじゃない。楓と会ってないんだから」

「ははっ、そっか」

「今日行こうと思うんだけど、23時に迎えに来てよ。…会いたい」

「分かった」


その日の夜、店から一旦抜け出した俺はリアを迎えに行くため、リアが指定した場所まで足を進めた。

数々のブランドが密集する通りにある高層ビル。

クリスマスに先駆けてなんだろうか、杉並木には輝くイルミネーションが輝いている。

それを嬉しそうに写真を撮っている人々に俺は何故かため息を吐いた。


「…かえでっ、」


俯いた俺の顔を上げた瞬間に、俺に抱きつくリアは、

「会いたかった」

そう言って俺の背中に両腕を回す。


「…俺も」


ポケットに入れていた片方の手を取り出し、俺はリアの背中に回した。


「そう思ってる?一度も電話してこないのに…」

「電話しなくても、思ってたよ。リアに逢いたいって、」

「じゃあ今日は独り占めさせてよ。楓と、居たい…」

「そんなに俺の事スキなのかよ」

「好きだよ…」


囁かれた言葉に胸が少し苦しくなるのは何でだろうと思った。

なんでか分かんねぇけど、美咲が頭を過る。


今、会いたい…と言われたのも、好きと言われたのも。

この場で抱き合ってるのもリアなのに、俺の頭の中は美咲で埋まっていた。


会いたいも、スキの言葉も美咲の口からは何一つ出ては来ない。

リアは簡単にその言葉を俺に吐き出すのに、言ってほしい美咲からの口からは出ては来ない。


抱きしめる事も…
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