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「沙世さんの所為で足止めくらってた」
「はい?意味分かんないんだけど」
「流星に捕まってたんだよ」
「あぁ。そっか。最近私よく出歩いてるからよく流星くんに会うのよ」
「出歩く?」
「あー…改装店舗行ったり他の店に顔出してるからね」
「なるほどな。つか、あんま流星と意気投合しなくていいから」
「えー、なんでよ?流星くんも翔くんの事、心配してたのに」
「心配ねぇ…」
そうにも思わなかったけどな。
クスリと笑う沙世さんは、「帰るのなら送るわよ?」そう言って更に頬を緩めた。
「この時間、あまりタクシー捕まらないでしょ?」
続けられた言葉に納得し、歩く沙世さんの背後に続いて足を進める。
真っ赤な車に乗り込んだ瞬間、沙世さんは俺の顔をジッと覗き込んだ。
「…は?なに?」
「ユカが言ってたんだけど」
口角をあげる沙世さんは俺から視線を避け、エンジンを掛け車を発進させる。
「何を?」
「翔くんが女の子、監禁してるって」
「は?監禁とか言うなって、してねぇから」
またあの女は余計なことをペラペラと喋りやがる。
軽く目を瞑って一息吐いた瞬間にユカの笑った顔が目に浮かんだ。
「だって相手は高校生でしょ?それはマズいんじゃないの?」
「……」
「母として言わせてもらうけど、それはよくないわよ」
「住んでねぇよ。ただ居るだけ」
「あら。認めちゃうんだ、居るって」
「どーせ隠してても流星が話すだろ」
「流星くん知ってるんだ」
「さっきな」
「へー…そうなんだ。でも高校生なんだしその子の親心配するわよ。どんな男だって思うはずよ?」
「知ってっから、あいつの親も」
「へー…挨拶に行ったんだ」
クスリと笑う沙世さんに思わずため息を吐きだす。