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「ご丁寧にどーも。送ってくれてありがとう。沙世さんも歳なんだから早く寝ろよな」

「は?アンタ叩かれたいの?歳とかいらない事言わなくていいわよ」


睨んだ沙世さんに俺は頬を緩ます。


「じゃーな、可愛い沙世ちゃんおやすみ」

「ムカつくわねぇ、アンタ」


ハハッと笑って俺は車から降りる。

未だ不貞腐れた沙世さんが視界に入り、俺は手をあげた。

運転席にいる沙世さんは顔を顰めたまま俺に手を振り車を発進させていく。


その車の姿が見えなくなると、俺はマンションを見上げた。


眠い。

ここ最近、すぐに寝ていた所為もあって、この時間に起きているのがキツイ。


明かりのついたリビングに入った瞬間、すぐに目に飛び込んできたのがソファーで膝を抱えて丸まって寝ている美咲の姿。

なんでソファーで寝てんだよ、寒いのに…


テーブルの上には洗濯物が綺麗に畳んである。

もしかして俺を待っていて寝たんだろうか。

なんて思いながら美咲に近づいた。


「ごめん、遅くなった」


小さく呟き、美咲の手に触れる。

自棄に冷たくなったその手を握り、反対側の手で頬に触れる。

そして俺は美咲を抱え立ち上がった。


「…軽っ、」


思った以上に軽く、ちゃんと食べてんのか心配になる。

寝室に向かい、美咲をベッドに寝かせ顔にかかっているサラサラとした長い髪を払いのけ、そしてそのまま俺は頭を撫ぜた。

無意識だった。

俺の顔が美咲の顔に近づく。

そのもう少しで触れそうになる唇の手前、俺は顔を離しため息を吐き捨てた。


「なにやってんだよ、俺…」


苦笑いとともに小さく呟く言葉が何故か切なく感じた。

ほんと、どうにかしてんな、俺…
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