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「つか、風呂入ってくる。…みぃちゃん入った?」
「ううん。まだ」
「じゃあ、先入んなよ。俺、後でいいから」
「あ、うん…」
コクリと頷き美咲は脱衣所へと向かって行く。
眠気を冷まそうとタバコに火を点け、俺はその背後を追うように閉まったドアをもう一度開けた。
俺が来た事にビックリしたのか、美咲は目を少しだけ見開く。
「な、何?」
「何って風呂の湯溜めんだよ」
風呂場に入り俺はボタンを押した。
「ってか、いいよ。あたし浸かんないし」
「いや、俺が浸かんの」
じゃなきゃ、この眠気マジで覚めねーわ。
いや別に無理に覚ます事ねぇけど、美咲が居る以上なんとなく先に寝る事が悪いように思えた。
「あぁ、そっか。ってか言ってくれればあたしやるのに」
「頼んでる時間あんなら自分でやったほうが早ぇじゃん。つか、みぃちゃんも浸かれよ。身体冷えっから」
「あぁ…うん」
何故か戸惑ったような返事。
そして放心状態の美咲。
俺は脱衣所を出て扉を閉めてすぐもう一度ドアを開けた。
「もしかして一緒に入るとか思った?」
クスリと笑う俺に美咲の目が少しだけ泳ぐ。
「えっ、思ってないし」
「いいよ別に入っても」
「いいってば!もう翔は出てって!」
グッと押された俺の身体。
バタンと閉まった扉と美咲の張り上げた声に俺は思わず声に出して笑った。