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「ちょ、痛いって!」
美咲の悲痛な声が響く。
必死で俺の手を離そうとする美咲の手。
そんな美咲が面白おかしくなってしまって、俺は余計に手を離したくなくなる。
必死でもがこうとする美咲の姿に俺は笑みを漏らし、そんな美咲も顔を顰めながら笑みを漏らしていた。
だけど、この掴み取った日常があとどれくらいなのだろうと思うと、俺の顔から笑みが消えた。
美咲の頬からスッと離した手。
真上から見下ろす美咲の表情は戸惑うように目を泳がし俺から逸れていく。
「みぃちゃん…」
「ど、どうしたの?」
戸惑うように口を開く美咲はぎこちなく視線を俺に向けて来る。
ゆっくりとカチ合った瞳。
その瞳が俺から逃げないようにと――…
「俺、マジで美咲が好きだから」
唇で繋ぎ止める。
これ以上、離したくない。
自分でも驚くくらい、こんなに誰かを好きになるなんて思わなかった。
この先、誰かを好きになることなんてないと思っていたのに。
出会う女はいい女など居なく、俺の外面ばかりを重視していた。
中身など知ろうともせずに、俺の存在だけで近づいてくる女しか居なく、それに嫌気がさしていた。
だけど、美咲は違った。
俺が近づいても俺を求めてこようとしなかった。
だからなのかも知れない。
余計に美咲を追いたくなってしまった。
そして気づけばもっと美咲を知りたいと思うほどにのめり込んでしまった。
ずっと閉じ込めていた俺の理性がぶっ飛びそうになる。
好きだと思う感情が無我夢中でキスをし、美咲の口内に舌を滑り込ます。