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「…怖い?」

「え?」

「抱かれんの、怖いか?」


ゆっくりと視線を上げると、美咲の悲しそうな瞳とかち合う。

そしてその瞳が不安そうに揺れた。


「ううん…怖くは、ない。ただ、何て言うかその…引かれんのとか嫌だし」

「は?何が?」

「うーん…」

「いや、引かねぇから。つか、そうって決まった訳でもねぇだろ?」

「…だと思いたいけど、そうじゃないんだ」

「じゃあ、試す?優しくするから」


美咲の答えを聞く前に俺は美咲の頭を引き寄せ、唇を重ね合わす。

ごめん。結局は俺も男。

好きと思える相手と触れ合いたいし、抱きたい。

男の本能かも知れねぇけど、これ以上自分を抑える事も待つ事も出来なかった。


何度も重ね合わすその唇に美咲も受け答えてくれる。

だけど答えを聞かないまま抱くわけにもいかず俺は重ね合わしていた唇をゆっくりと離した。


離すと同時に美咲の瞼がゆっくりと開いていく。


「…嫌?嫌なら言って。やめるから。無理に抱きたくない」


そう。無理やりは抱きたくないし、俺の感情だけで抱きたくもない。

じっと見つめる俺に美咲はゆっくりと首を振る。


「嫌じゃ…ない。翔が嫌じゃなければ」

「俺は嫌じゃねぇよ。美咲が好きだから抱きたい」

「あたしも翔が好き…」


美咲が俺の事を好きと言った言葉に頬が緩む。

めったに言わないその言葉に笑みを漏らし、そのまま美咲の背をベッドに倒した。
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