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半分酔ってんのか知んねータケルは次第に口数が減り諒也にもたれ掛かる。
ふと気になったそれ。
俺の視線は今まさに着ている諒也の制服で…
違和感を覚えたのは一瞬だけだった。
あぁ…あの女と一緒か。
不意に過った美咲と同じ制服…
ズボンのチェックの柄が美咲と同じだと分かった時、同じ学校だと知った。
一緒かよ。だからって諒也とあの女が知り合いだとは限らない。
あの女…とっつきにくそうだしな。
別に聞くほどのもんじゃねーし…
聞いたからって、どうなる事でもない。
「…学校行ってんの?」
タバコをすり潰した俺は諒也に視線を向けてビールを口に含む。
「行ったり行かなかったり…」
「お前、ダブってんのに行かねぇとヤバいだろ」
「承知の上で…」
「なんだよ、それ」
苦笑いしつつ、諒也はグッタリとしているタケルを少し押しのけ、ポケットから取り出したタバコに火を点けた。
「おーい、お前。ここで制服着て吸うなよ」
クスクス笑う俺に、「あー…気にしてなかった」そう言って諒也も同じく笑みを作る。
マジ、相変わらずだな。諒也の奴。
「あ、そういえばユウトさん元気っすか?」
「あー…流星?」
「あー…そっちの世界では流星さん」
「なんだよ、そっちの世界って。…つかアイツ最近面倒くせぇんだよな」
思い出したかのように俺は深くため息をついた。
「え、面倒くさい?」
「そーそー、なんつーか馬鹿にしすぎ?」
「えっ、翔さんにっすか?」
「まーな…」
タバコの煙を吐き出しながら笑う諒也に俺も同じく苦笑いする。
だからと言って理由は語らない。