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「え、なんかあったんすか?」

「別になんもねぇけど。アイツと会ってねぇの?」

「全く」

「えー…でも時々お前見たって聞くぞ」

「そうなんすか?」

「輩の溜まり場ん中に居たっつー情報は聞く」

「なんすかその情報。つか輩て…」

「悪っぽい集団の中に居たっつってたから」

「悪っぽいのは蓮斗さんすよ。たまたまこの前、偶然出くわしたと思ったら、ちょっと付き合えよとか言われて」

「なんかあった?」


なんとなく予想はつく。

タバコを灰皿に打ち付けながら俺は薄っすらと笑みを浮かべた。


「なんか丁度仕事中だったらしくて、それが不良グループの集団の中に調べたい奴が居るとか言ってさ、蓮斗さん俺は顔が知れてるからお前行ってこいつが今どこにいるか聞いて来いとか言って写真渡されて、」

「ははっ、マジか。で、お前行ったの?」

「行ったわ。時間ねぇっつーから。諒也なら見かけ怖いから大丈夫だろって、意味分かんねぇわ。あの人の方がよっぽど見かけ怖いしよ」

「ご苦労さん」


「おーい、諒也!!」


クスクス笑ってる会話の途中で割り込んできた声に視線を向けると諒也のツレが顔を覗かせた。


「おい。来ねーと思ったらこんな所に居たのかよ、」

「あ、翔さん久しぶりです」

「おー、久しぶり。食ってる途中?」

「そーなんすよ。諒也こねーから」

「悪い悪い、こいつが道ずれにして…」


もう気力もねーくらいに諒也にベッタリするタケルに指さし、苦笑いする。


「わー、誰かと思ったらタケルさん。諒也の女かと思ったわ」

「はぁ!?こんな女嫌だろーが」


必死でタケルの身体を離そうとする諒也はゲンナリとする。


「おい、諒也。もうお持ち帰りしろよ」

「俺が男お持ち帰りしてどーすんだよ。あー…もうマジうぜぇー…離れろよ」


結局、タケルは暫く経っても起きず、放置して帰るわけにもいかねーから無理やり起こした。

目を覚ましても相変わらず口数は増える一方で正直疲れる。

身体もあまりよくない所為か、気分もいまいちのらず。


だからと言って、トビも夜の仕事も休むわけにもいかなかった。

ただ必死になって夢中になることで、何もかも忘れようとしてた。
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