Domain
「どうした?」
「どうしたじゃねーっつーの。電源切んなよ」
「悪い」
「つかお前の犯した過ちだから俺は助けねぇから」
「お前に助けてもらった事、一度もねぇけど」
流星は俺と同期だから、一番仲がいいってのは確か。
だけど、俺と違う事と言えば、こいつは代表だから殆ど接客はしない。
まぁ、オーナー兼、代表ってとこだろうか。
俺がNO1になった頃ぐらいにそっちの道に進んだ。
仲がいいのは確かだけど、俺を特別扱いは絶対にしない。
むしろ助けてもらった事も一度もない。
「まー、助けた事はねぇけどな」
「だったら言うなよ」
タバコの先端に長くついた灰を軽く指で叩いて落とし、もう一度咥える。
「だからそれほど大変だっつーの」
「へー…」
「へー…じゃねぇし。言っとくけど大半の女が帰った」
「そう」
「その中にリアも居る」
…リアか。
その名前にタバコを咥えたまま思わず眉を寄せた。
「そっか」
小さく呟いた言葉は、もう終わった祭りとしか言いようがない。
まさか、来ないと思っていたリアが来るとはな。
「凄い機嫌悪かったのは確か。俺の説得じゃどーにもならなかったからな」
「……」
「だから電話したのに切ってんじゃねーよ」
「……」
「それに言っとくけど、お前…今のままじゃきっと落ちるね」
「へー…」
「だからどうでもいいような呟きすんなって」
″売上表見ろよ″
付け加えられた言葉とともに、流星のため息が漏れ、散々説教を聞いた後、俺は携帯をポケットに押し込み立ち上がった。