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少し先にあるコンビニに向かって足を進める。
早朝の外はさすがに人通りも少なく、見上げた空に一息吐く。
雲一つもない空に薄い水色が広がる。
そんな空にもう一度、息を吐き出し、流星が言っていたリアの顔が頭に浮かんだ。
面倒くさい事になるだろうと、予感する。
だけど、こいつは手放すわけにはいかない。
と言うか、俺をここまで上げた女だから避ける事は出来ない。
何も分からないまま18でホストの道に入った時、一番初めに俺を指名した女がリアだった。
俺が18で、リアが20歳だった。あの頃からずっと、25歳になったリアは今でも俺を指名するようになった。
こいつは…俺の一部だった。
だけど客として。客として大切な女。
体の関係は一切ないものの、俺にとって特別な存在だった。
コンビニに入って、適当に飲み物とパンを買う。
今からどうしようか…なんて思ったけど、帰って寝室の扉を開け、そこに眠っている美咲を見て答えはすぐに出る。
朝の仕事に行く事。
美咲を置いて出ることに躊躇ったが、美咲からすると俺が居ない方がいいだろうと。
多分、顔を合わせるとお互いがお互いにギクシャクするだろう。
さっき買ってきた珈琲とパンを食べながら、さっき途中まで見ていたメールに釘付けになる。
よくもまぁ、こんなに入れれるもんだと思いながらため息が漏れた。