Domain

少し先にあるコンビニに向かって足を進める。


早朝の外はさすがに人通りも少なく、見上げた空に一息吐く。    

雲一つもない空に薄い水色が広がる。

そんな空にもう一度、息を吐き出し、流星が言っていたリアの顔が頭に浮かんだ。


面倒くさい事になるだろうと、予感する。

だけど、こいつは手放すわけにはいかない。

と言うか、俺をここまで上げた女だから避ける事は出来ない。


何も分からないまま18でホストの道に入った時、一番初めに俺を指名した女がリアだった。


俺が18で、リアが20歳だった。あの頃からずっと、25歳になったリアは今でも俺を指名するようになった。

こいつは…俺の一部だった。

だけど客として。客として大切な女。


体の関係は一切ないものの、俺にとって特別な存在だった。


コンビニに入って、適当に飲み物とパンを買う。

今からどうしようか…なんて思ったけど、帰って寝室の扉を開け、そこに眠っている美咲を見て答えはすぐに出る。


朝の仕事に行く事。

美咲を置いて出ることに躊躇ったが、美咲からすると俺が居ない方がいいだろうと。

多分、顔を合わせるとお互いがお互いにギクシャクするだろう。


さっき買ってきた珈琲とパンを食べながら、さっき途中まで見ていたメールに釘付けになる。

よくもまぁ、こんなに入れれるもんだと思いながらため息が漏れた。
< 86 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop