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「はいよ」
「サンキューっす。親方の所行ったんすか?」
「お前に呼び止められたから、まだ行ってねーよ」
「はぁ!?よく言いますよ。電話してたじゃないっすか」
タケルの吐き捨てられたため息。
顔を顰めて言うタケルに、苦笑いが零れる。
「まーまー、そう言うなって」
「つか浮気しないで下さいよ。嫉妬するじゃないっすか」
「は?お前は一体なんだよ、」
「だから今日は彼女っす」
「はいはい」
笑うタケルにやっぱアホだな。と首を傾げながら、適度に仕事をしてから親方の所に向かう。
丁度、腰を下ろしてお茶を飲む親方に、「お疲れっす」隣に腰を下ろした。
「おー、翔も飲めよ」
そう言って、親方がお茶のペットボトルを差し出し、受け取ると同時に軽く会釈する。
「すみません、今日4時に帰っていいっすか?」
「おー、ええよ。他の奴もおるし。こっちより女扱う方が大変だろ」
「まー…」
わはは。と声を上げて笑う親方に苦笑いになる。
まだ50歳の親方は俺が入った当時から優しい人で、だからこそ今でも居れるんだと思う。
色んな意味で親方にも感謝してる。
「無理せんでも来れる時に来たらええ」
「すんません…助かります」
「あー…、もうそろそろ飯行こか」
親方は携帯の時間を確認して立ち上がる。
そして、そのまま上の方を見上げた。
その方向に同じく視線を送るとタケルが目に入る。