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「あれは…ほっといて行こか」
笑いながら建物の上に居る親方に、苦笑いしつつ。
「そうっすね…」
なんて、呟いて二人で足を進めた時、
「おーいっ!!俺を置いて何処に行くんすかー!」
案の定、気づいたタケルは大声を出し、急いで降りてくるのが分かる。
それに気づいた親方は笑いながら駆け足になった。
その後ろをのんびり歩いてると、
「なんで置いて行くんすか?彼女置いて行くなんて酷いっす」
タケルは不貞腐気味に声を漏らす。
「えっ?彼女?お前ら付き合ってんのか?」
先に足を進めていた親方は不意に足を立ち止め、驚いた表情で俺たちを見つめる。
「そーなんすよー、実はね俺達そー言う仲でして。俺、彼女なんすよ」
「マジか。いつからだ?」
「俺は前からだと思ってたんすけど、翔さんが今日からなって言う――…」
「言ってねーだろ!!」
タケルの訳分かんねぇ言葉を遮って、深いため息をつき、
「なんだ、お前ら訳わかんねーな」
親方の笑い言葉に、俺じゃなくタケルが訳分かんねぇよ…と思ってしまう。
昼食を済ませた後、親方は昼寝に、タケルは他の奴と会話中、俺はふと思い出し携帯を取り出した。
着信履歴に残っているその番号に画面を軽く触れ、一息吐いた。