君桜
翠雨

「さくら、おはよぉー」


「おはよ、咲樹」


言うのと一緒に、にこりと微笑んでみる。

with a smile、

うまく、笑えてるかな。


「さくらぁー」

咲樹が嬉しそうに、にこにこ笑った。


「さくらが笑ったの、初めて見たっ」


「そ?」

「うん! 嬉しいっ」


楓のおかげなのか、どうなのか。

いつからかまた、笑えるようになった。

寂しいとも思うし、涙も零れる。


今までどこかに忘れてきた感情が、一度に戻ってきたみたいに。

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