君桜
そして。

そのことを、嬉しく思える。


これからもっと、クラスに馴染んでいける気もするし、友達だってつくれるかもしれない。

もちろん咲樹は、ずっとずっと大切な友達。


外を見ると、もう散ってしまった桜が目に映る。


あの日楓がくれたぬいぐるみは、家に大事に置いてある。

母が帰るまでの独り寂しい時間には、誰かが……楓が、そばにいてくれているような気がした。


ひとりじゃないって、思った。



……もう、大丈夫。


樹々の間を吹き抜けてゆくそよ風とともに、楓の笑顔が見えた気がした。





end.


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