君桜

「セ、セーフ……」


ぎりぎり遅刻は免れて。

乱れた息を整えながら、さくらは席に着いた。


窓際の、1番後ろの席。

外を見やれば、満開の桜が目に入る。


その色に、ふと朝の夢を思い出す。



桜。


桜吹雪。


誰か──…。



「……ら、さくら?」


「……? あ、おはよ、咲樹。」

クラスメートの咲樹が、心配そうにさくらの顔を覗き込んでいて、さくらは訝みながらも、いつもと同じようにあいさつした。


だけど。
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