炭酸キャンディ
「久しぶり」
そう言って近寄ってきたのは
紛れもなく...
「ひ、久しぶりだね!」
...駿くんだった。
相変わらず整った顔立ちに
サラサラとした髪の毛は
体育館で見たより
夕日に照らされているせいか
すこし茶色く見える。
ブレザーのネクタイは下がり気味で
ジャージ姿とはまた違うかっこよさに
この間と同じように心臓が高鳴って
あたしはゴクッと唾を飲んだ。
ドスンと当たり前のようにあたしの横に座って
鞄を隣に置くとコンピューターの電源をつけた。
その一連の慣れた手つきにさえ見とれてしまう...
「ん、どうかした?」
気づけばすぐ近くに駿くんの綺麗な顔があって
座っても小さなあたしの目線に合わせてくれているみたい...
「あ!ううん、なんでもない!」
「そっか。恋も図書委員だったんだな」
゛恋゛
数日振りに聞くあたしの名前を呼ぶ声は
あのときと同じく低くてかすれていた。
「そ、そうなの!もうハズレだ~って思ってたけど、駿くんと一緒ならいいやっ」
「え?」
....っしまったぁーーー!!
今のは確実に失言...
なんであたしこんなあからさまなこと言っちゃったの...
顔が熱くて思わず両手で口を覆った。