炭酸キャンディ



「久しぶり」

そう言って近寄ってきたのは

紛れもなく...

「ひ、久しぶりだね!」




...駿くんだった。


相変わらず整った顔立ちに

サラサラとした髪の毛は

体育館で見たより

夕日に照らされているせいか

すこし茶色く見える。

ブレザーのネクタイは下がり気味で

ジャージ姿とはまた違うかっこよさに


この間と同じように心臓が高鳴って

あたしはゴクッと唾を飲んだ。



ドスンと当たり前のようにあたしの横に座って


鞄を隣に置くとコンピューターの電源をつけた。



その一連の慣れた手つきにさえ見とれてしまう...



「ん、どうかした?」



気づけばすぐ近くに駿くんの綺麗な顔があって


座っても小さなあたしの目線に合わせてくれているみたい...


「あ!ううん、なんでもない!」

「そっか。恋も図書委員だったんだな」

゛恋゛

数日振りに聞くあたしの名前を呼ぶ声は


あのときと同じく低くてかすれていた。



「そ、そうなの!もうハズレだ~って思ってたけど、駿くんと一緒ならいいやっ」

「え?」


....っしまったぁーーー!!

今のは確実に失言...


なんであたしこんなあからさまなこと言っちゃったの...


顔が熱くて思わず両手で口を覆った。




< 12 / 62 >

この作品をシェア

pagetop