炭酸キャンディ
「わぁ~なんだかお祭りって感じだね!」
「...ね!!」
徐々に薄暗い道沿いに
点々と提灯の明かりがつき始めて
浴衣をきた人やわたあめを手にした子供が
たくさん見えてきた。
細い道で少し前を歩く麗は
顎まで伸びた長い前髪を片側に流していて
するすると目にかかりそうになるのを
耳にかけて、落ちたらまたかけていた。
その仕草も全部大人っぽくて、
なんだか少し色っぽい....綺麗だなぁ。
あたしなんて目の上ぎりぎりで切りそろえた前髪を
くるっと軽く巻いてそのままおろしているだけ。
きっと駿くんも...
麗みたいな大人っぽい子が好きなんだろうな
綺麗って言葉が似合うほうがいいのかな
待ち合わせ場所に到着して、
隣で「智哉から電話きた!」
と合流するために嬉しそうに会話をしている麗と
横に並ぶのがだんだん恥ずかしくなってきた。
すると少しして「あっきた!」
麗が声をあげて俯いていた顔をあげると
前から2人が小走りで寄って来た。
はじめてみる駿くんの私服姿は
シンプルなダメージジーンズに
ブイネックのシャツ、
シンプルなスタイルなのに
身長も高いしほどよく筋肉もついているから
まるで雑誌から抜け出してきたモデルさんみたいな...
2人が通ると横を歩いていた女の子達も
ひそひそと2人をみてなんかを話しているくらい...
かっこよかった。
「お待たせ!」
「いこっ智哉」
2人が来るなり、麗は慣れたように智哉くんの腕に手を絡ませて
先に人ごみの中に消えていった。
後姿を見ても長身な2人は
釣り合っていて...お似合いだ。
「どうした?」
ふと2人を見つめていたあたしの目の前に
いつもはサラサラとしている髪の毛を
今日はふわっとセットされた駿くんの綺麗な顔が
出てきて「わっ」とバランスを崩しそうになった
のを、駿くんが片手で抱き寄せるように支えてくれた。
「ありがと...」
「なんか恋危なっかしいから、ホラ」
ホラ、といわれ視線を下げてみると
差し出された大きな手。
あたしは恥ずかしくなって俯くと
「行こう」
出しかけたあたしの手をぱっと取って
歩き出した。