炭酸キャンディ
「うん...ごめんね?」
本当に、申し訳ない。
「いいから、ほら」
駿くんは優しくそういって
あたしにまた下駄を履かせてくれると
ゆっくりとベンチの前まで誘導してくれ
さっとベンチについた砂を手でほろってくれた。
「俺さ、小さいときから祭りでいっつもおにごっこしてたんだ」
「うん」
「で、ここら辺に逃げ込んだとき花火が始まって。見に行きたいけど出たら見つかりそうだしって空見上げたらちょうど綺麗に見えたんだよ」
「ここから...?」
「そう、それでこれ穴場だなって思って。毎年ここに逃げ込んで花火1人でみて、終わったら屋台に逃げ込んでたんだ」
「そうだったんだ...」
「だからこの秘密の穴場を教えるのは、恋がはじめて」
こっちをみて優しく笑う駿くんは
暗い中でもはっきりみえて
ドキッと胸が高鳴る。
...こんな特別なところにあたしを連れてきてくれたなんて
「嬉しい...」
「ん?」
「連れてきてくれて嬉しいっ」
すると駿くんはぽんぽんと
頭を撫でてくれて「恋だから特別」と
ニヤッと口角をあげた。
______ヒュー____
___バーン____
数秒見つめあっていたら
花火があがって、あたしたちは空を見上げた。