愛してるって言って
もうすぐ40才なのに『蓮くん』ってのもどうかと思うけれど、パパのことを『おじさん』と呼ばれるのもなんだかちょっと嫌だからこれはこれでいいのかな。


まあ、見た目も頑張ればまだ30代前半でいけると思うしね。



「送ってくれたのか?」


「まあな」


「ありがとな」



そう言ったパパの表情はさっきとは違って穏やかなもので。


不機嫌じゃないみたいだからほっとした。



「送っていくか?」



ちらりと車に視線を向けながらそう言ったパパに、圭ちゃんは「いや、歩いて帰るからいい」と言ってからあたしに視線を向ける。


そして、



「また明日な」



と言いながら、くしゃり、とあたしの頭を撫でると、そのまま背中を向けて帰っていった。
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