愛してるって言って
ドアに背をつけてその場にぺたりと座り込む。


そのまま膝を抱えて止めどなく溢れてくる涙を流し続けた。



「涼夏、大丈夫か?」



どれだけ経ったのか、突然ドア越しにかけられた声。



「中に入れてくれない?」



そう言うと同時にドアが開けられたけれど、あたしがドアを背もたれにして座っているせいで途中で止まってしまって。



「そこ退けって」



あたしを心配して来たであろうはずの圭ちゃんが放ったこの言葉に、思わずむっとして反論してしまった。



「退かない」



そしたら圭ちゃんは、わずかに開いたドアの隙間から手を伸ばして、



「ひゃっ! 何をするの!?」



あたしの脇腹をくすぐってきた。
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