愛してるって言って
「圭ちゃんは……知っていたの?」


「ん?」


「蒼ちゃんが年上の女の人とばかり付き合っていたこと」



ちらりと隣を見上げると、圭ちゃんもこっちを見ていて、あまりにも近すぎる距離にどきんっと心臓が跳ねる。


慌てて視線をそらすと、圭ちゃんは溜め息混じりに口を開いた。



「まあ……なんとなくはな」


「なんとなく?」


「だって一緒に住んでねーし。俺が知っているのは兄貴が20歳の頃まで」



それって……一緒に住んでいた頃までってこと?



「家にいた頃は彼女を連れてきたりしていたの?」


「いや、俺の知る限りじゃ、家ん中には入れてねーと思う。でも高校の頃だったかな……たまに彼女が車で迎えに来ていたんだよ」



高校生の頃に車で……ってことは、明らかに年上の女……。
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