愛してるって言って
だってもし蒼ちゃんの口から「すずのことは妹としか思えない」なんてはっきりと言われたら、めちゃくちゃショックを受けてしまうから。


けれどやっぱり圭ちゃんとは今以上の関係にはなれないよ。



「なあ涼夏」


「えっ」



頭の中であれこれ考えていると、圭ちゃんから声をかけられたから隣を見上げる。


圭ちゃんは苦しげな表情を浮かべながら、呟くように言葉を紡いだ。



「しつこいけどさ……俺、やっぱり諦められねぇ。兄貴にその気がねーなら尚更」



圭ちゃんの瞳が真っ直ぐにあたしに向いている。


圭ちゃんは『しつこい』って言うけれど、そんなことを言ったら、あたしなんてその何十倍もしつこいと思う。


何度も何度も告白して、そのたびにはぐらかされているのに、ずっとずっと好きなんだから。


それに、蒼ちゃんに彼女がいるって知ったのに、いまだにこんなにも蒼ちゃんのことが大好きなんだから。
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