愛してるって言って
そして少し屈んで視線を合わせた圭ちゃんは、今度は右手を伸ばして左の目尻をそーっと撫でながら口を開く。



「俺だったら、こんな風に泣かせねーし、すっげー大切にするよ」



目の前でやさしく微笑んでいる圭ちゃんを見ていたら、また涙腺が緩んで涙が溢れてきた。



「圭ちゃ……」



圭ちゃんはいつも意地悪ばかり言ってきて、あたしもあたしでそれに対抗するような言葉ばかり返して、言い合いすることが日常茶飯事だった。


けれど圭ちゃんと過ごすようになってからのこの一ヶ月半。


もちろんそういうときもたくさんあるんだけれど、それ以上に圭ちゃんの優しさを身に染みて感じるようになった。


それに、ずっとじゃないけれど、蒼ちゃんに失恋した悲しみや会えない寂しさを忘れられる時間もたくさんあって、凄く楽しく過ごすことができた。


圭ちゃんが傍にいてくれなかったら、あたしはきっと泣いてばかりいたと思う。


そう思うと、あたし、圭ちゃんに寄りかかってもいいのかな?
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