愛してるって言って
そしてその瞳があたしの方へ真っ直ぐに向けられて。



「どうしたの!? これっ!」


「下駄箱に入ってた。もう二週間になるの」


「え! 二週間!?」


「うん。毎日欠かさず入ってる」



あたしのその言葉に梢は眉を寄せる。



「佐伯先輩は知っているの?」



首を横に振ると、梢は小さく息をはいた。



「ちゃんと言わなきゃ駄目だよ。あとで取り返しのつかないことになったら大変なんだから」


「取り返しのつかないこと?」



意味がわからなくて首を傾げたあたしに、今度は大きく息を吐き出した。



「今はこんな小さな嫌がらせだけれど、これがもっと大きな嫌がらせとかいじめに変わったりしたら大変でしょ?」



いじめ……


その言葉が頭の中になかったわけじゃない。


けれど、どこかであの紙を書いた人の気持ちを考えてしまったんだ。
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