愛してるって言って
圭ちゃんはそう言ったあと、自分の髪をくしゃくしゃと掻き回した。



「俺、今女みたいなこと言ったよな。うわー、すっげー恥ずかしい」



そう言いながら顔をそらした圭ちゃんだけれど、あたしから見える横顔は、この暗いところでもわかるくらいに赤く染まっていて。



「ふふ」



あまりにもかわいくて思わず笑みがこぼれてしまった。



「笑ってんなよ」



ちょっとぶっきらぼうにそう言ったかと思ったら、一気に距離が縮まって、ちゅっと唇が触れ合った。



「ちょっ、圭ちゃん!」



慌てて離れてきょろきょろと辺りを見回す。


この辺は圭ちゃんにとってもあたしにとってもご近所さんで知っている人ばかり。


もしそういう人たちに見られていたら、きっと明日には町中の噂になってしまう。
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