愛してるって言って
ふっと微笑み合ったあと、辺りを見回して雨宿りができそうな場所を探すけれど、ずっと砂浜を歩いていたからそんな場所は見当たらなくて。



「戻ろうぜ」


「うん」



途切れることなく耳に届いてくる雷の音を聴きながら、足早に砂浜を歩いていく。


けれど急げば急ぐほど砂に足をとられてうまく歩けない。


そして、



ポツポツポツポツ……



肌に雫が落ちるのを感じたと同時に、



「ひゃあー!」



どしゃ降りの雨が降り始めた。



「なんだよっ、これ! 涼夏、走るぞ!」


「うん!」



圭ちゃんに手を引っ張られながら走っていたけれど、一瞬にして全身はずぶ濡れになってしまったから、ここまで来たら走っていても歩いていても変わらない気がして、いつの間にか速度を落として歩き始めた。
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