愛してるって言って
ようやくたどり着いた軒先で雨宿りをしたけれど、こんなに濡れてしまったらもうどうでもよくなる。


ていうか、この格好じゃ電車やバスにも乗れない。


どうやって帰るの?


圭ちゃんもあたしと同じことを思っていたらしく。



「涼夏の親って何時に帰ってくる?」


「どうかな。五時頃にはいると思うんだけど」


「だよな。うちもそれくらいだって言ってた気がする」



迎えを頼もうとしているのだろうか。


けれど今はまだ三時を過ぎた頃。


五時までには時間がありすぎる。


いくら夏とはいえ、びしょ濡れのままいたら風邪を引いちゃいそうだ。



「あ! 優華ちゃんは!?」


「そっか。ちょっと訊いてみる」



優華ちゃんは大学生だし、夏休みに入っているから家にいる可能性がある。


車も持っているしね。
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