愛してるって言って
隣で電話をかけ始めた圭ちゃんの声を聞きながら、空を見上げる。


真っ青な空は全くなくなり、その代わりに辺り一面グレーが広がっている。


それにずっと雷は鳴りっぱなしだし、雨はやむどころか更に強くなっている気がする。


このままだと誰かに迎えに来てもらわないとほんとに帰れない。



「すぐは無理だけど来てくれるって」



電話を終えた圭ちゃんはほっとした表情を浮かべているけれど、



「ごめんな」



何故かそう言って眉を下げている。



「何で謝るの?」


「天気予報も見ずに連れてきて、こんなにびしょ濡れにしちまった。

誕生日なのに。ほんとにごめん」


「そんなこと気にしなくてもいいのに。あたしだって天気予報見なかったし」



圭ちゃんのせいじゃないのに。
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