愛してるって言って
ふんわりと微笑みながら私の顔を覗き込んでそう言ってきたけれど、可愛すぎるから笑うってどういうこと?


可愛いと笑いたくなるの?


その意味がわからなくて、唇を尖らせてしまう。



「そんなに怒るなよ」



あたしが怒っていると思ったのか、圭ちゃんは申し訳なさそうに眉を下げている。



「別に怒ってないもん」



そう言いながらさらに唇を尖らせた。


そんなあたしに、圭ちゃんは「ははは」と笑いながら、また背中に腕を回してそっと抱き締めてきた。


冷えてきていた肌の体温が少しずつじんわりと上がっていく。



「くっついてるとあったかいね」


「んー、まあ、そうだな」



どこか歯切れ悪くそう言った圭ちゃんに首を傾げる。
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