愛してるって言って
蒼ちゃんに彼女ができたと知る前までは、頑張って作っていたこういう時間。


でも今は、蒼ちゃんとふたりきりになってもどうしていいのかわからないよ。


あたしの前にココアの入ったカップをコトンと置いて、蒼ちゃんは一人分のスペースを空けてソファーに腰を下ろした。



「ありがとう」


「ん。熱いから気をつけて飲めよ」


「うん」



カップを手にとって、そっと口をつける。


ほんのりと甘い香りが鼻をくすぐり、心があったまってくる。


そして少しずつ喉へ流し込んだ。



「美味しい」



お風呂で暖まったあととはいえ、さっきまでは寒かったからか、あったかいものを飲むと身体がじんわりと暖かくなってくる。
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