愛してるって言って
「でも、蒼ちゃんのアパートにいたし、七夕祭りでも……」



言いながら顔を伏せてしまったから蒼ちゃんが今どんな顔をしているのかわからない。


けれど、ふっと笑う声が聴こえてきた。



「ああ、あれは高校んときの友達。ちょっと頼まれてたことがあって一緒にいただけ。あいつには彼氏がいるしな」


「……」



あまりにも吃驚しすぎて声にならなかった。


蒼ちゃんの彼女だと思っていた人はただの友達で。


しかもその人には他に彼氏がいる。


てことは、蒼ちゃんは今……。


ちらりと蒼ちゃんを見上げると、蒼ちゃんもこっちを見ていて視線がぶつかる。


その瞬間、あたしの心臓はどきんっとさっきよりもさらに大きな音をたてた。
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