愛してるって言って
その瞳を見ていられなくて、また顔を伏せる。


そしていろいろと考えてみるけれど、たどり着いた先は蒼ちゃんには彼女がいないという事実。


じゃああたしは、失恋した訳じゃなかったの?


確かに蒼ちゃんからそう言われたわけでもないし、あたしも確かめなかった。



「すず?」


「……」



頭の中がぐちゃぐちゃになって、訳がわからなくなってきた。


今あたしにとって一番大切な人は圭ちゃんのはずでしょ?


こんなことで揺れちゃ駄目だよ。



「すず?」


「わっ!」



気づいたら目の前に蒼ちゃんの顔があったから、吃驚しすぎて大きな声が出た。それと同時に身体を後退させる。
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