愛してるって言って
「うん。もう結婚できるんだよー」


「そうだな」



つい今までとは違い、静かに発された声に違和感を感じて視線をあげる。


そこには、さっきのようにやさしく微笑んでいる蒼ちゃんがいて。


あたしの心臓はバクンッとあり得ないほどに大きく跳ねた。



「やっと、解禁だと思ったのにな」


「え」



解禁?


意味がわからなくて首を傾げる。


それと同時に、



「あー、気持ちよかったー」



圭ちゃんが浴室から出てきて。



「ちゃんと髪乾かしとけよ」



立ち上がって圭ちゃんの髪の毛をくしゃくしゃとかき回すと、蒼ちゃんはキッチンの方へ歩いていった。



結局、蒼ちゃんが何を言おうとしていたのかわからなかった。
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