愛してるって言って
傍にいたいだけ
◇◇◇



「いってきまーす」



眠い目を擦りながらそう言って玄関を出る。


目の前には眩しいくらいの青い空が広がっていた。


そんな視界の隅に黒い影が入ってきた。



「おはよ」


「えっ! 圭ちゃん!?」



その影は圭ちゃんだった。


幼馴染みとはいえ、めちゃくちゃ家が近いわけでもないし、小学校や中学のときにもこうやって一緒に通ったことはない。


まあ、帰りは一緒に帰ったこともあったけれど。


だから、わざわざうちの前に来た意味がわからない。



「どうしたの?」



肩を並べて歩きながら圭ちゃんに訊いてみた。


そしたらどこか不機嫌そうな表情で、



「昨日……あのあと、どこに行ってた?」


「えっ!」



あまり触れられたくない話題を口にしてきた。
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