愛してるって言って
頬を真っ赤に染めながらひとり慌てるあたしに、蒼ちゃんはふっと笑う。



「ほら、すずも言って」



至近距離で蒼ちゃんに見つめられていると、あたしの鼓動が蒼ちゃんにも伝わってしまいそう。


いつまでもこの距離で見つめられていると、あたしがもたなくて、心を決める。


あたしも負けじと蒼ちゃんの瞳を見つめて、



「蒼ちゃん、好き。大好き。愛してるっ」



そう言って、そのままその瞳から逃れるように蒼ちゃんの胸に飛び込んだ。


そんなあたしに、蒼ちゃんは最初はぽんぽんと背中を撫でていたけれど、その手があたしの肩に添えられた。


そしてゆっくりとそれを押して、あたしの顔を覗き込む。



「すず」



そのまま一気に距離を詰めて、そっと口付けてきた。
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