愛してるって言って
「そのときに『佐伯』から『藤本』に変えるって話」


「えぇっ!?」



母さんは驚きすぎたのか、目一杯目を見開きながらすっげー大きな声を出して。



「絢華は考えたことない?」


「何を?」


「このままこうやって過ごしていって、年老いて……そのあとのこと」


「そのあとって……」



わかっているけど、口には出したくないのかそこで言葉を止めた母さん。



「いくら同じ敷地にいても優太さんは別なんだよ」


「……」


「同じところに……って、そこまで俺、考えられないし」


「……」



俺が言いたかったことの全てを理解した母さんは、ゆっくりと俺の方に視線を向けてきた。
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