愛してるって言って
その瞳には今にもこぼれ落ちそうなくらいの涙が溜まっていて。



「そう、たっ!」



そう声を発した瞬間、それがぽろぽろと溢れ始めた。


そして、向かいに座っている俺の方へ這うようにやってきて、ぎゅっと手を握ってきた。



「蒼太っ……ありがとっ……本当に本当に、ありがとっ……」



墓参りに行く度に気になっていた。


大きな墓の横に小さく建てられている親父のそれ。


親父には身寄りがいないから独りで入っている。


といっても、母親はいるらしい。分骨をして半分持っていっているらしいけど、ここにいるのは独りだけ。


親父は寂しくないのだろうか。


ずっとずっと独りでいるのだろうか。


いずれ父さんや母さんにその時が来てもここに入ることはない。


そう思ったら……。
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