愛してるって言って
俺が親父の姓を継げばいいんじゃないかって気づいた。


俺は長男だけど、父さんとは血は繋がっていない。


といっても、父さんは俺や優華にも圭介や葵衣と同様に深い愛情を注いでくれた。


だから、この話をするのはすっげー勇気のいることだった。


本音はどうなのかはわからないけど、俺から見た今の父さんの表情は穏やかなもので。


この決意が間違っていなかったんだと思わせてくれている。


姓が変わるだけで、父さんと母さんの息子であるにはかわりないし、これまで通りに接するつもりだ。


そして『佐伯』の姓は父さんと血の繋がりのある圭介か葵衣が継げばいい。


俺は親父に、最初で最後の親孝行をしたいんだ。
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