愛してるって言って
梢とは帰る方向は反対だけれど、駅までは一緒。


三人で帰れば圭ちゃんに梢を紹介できるし、少しは梢のことを知ってもらえるかもしれない。


そう思っていたんだけれど、



「いいの?」


「うん。ていうか、梢が紹介してって言ったんでしょ?」


「そうだけど。でも今日は蒼ちゃんのところに行くんでしょ?」



あたしがいつも、蒼ちゃん蒼ちゃん、って言っているから、梢までそう言うようになった。


最初は凄く変な感じがしたけれど、今じゃなんの違和感もない。



「駅まで行ったら、あたし1人で戻ってくるから大丈夫だよ」



圭ちゃんは変に思うかもしれないけれど、「忘れ物をした」と言って戻ればきっと大丈夫だと思う。



「ほんとにいいの?」


「いいって」



申し訳なさそうに言ってくる梢に笑顔でそう答えると、



「ヤバい……めちゃくちゃ緊張してきた。心臓がバクバクいってるよ」



梢は右手で胸を押さえながらそう言ってあたふたし始めた。


その姿が凄く可愛くて、笑みがこぼれた。
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